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不動産相続の評価方法とは

相続税の計算を行うには、まず相続した財産の価額を正確に見積もらなければなりません。そして特に不動産は、種類によって評価方法が異なるため、どのような方式で評価されるのかを理解しておく必要があります。

ここでは、①宅地、②家屋、③農地・山林、④借地権、⑤貸宅地・貸家建付地に分けて見ていきましょう。

 

■①宅地
宅地とは、住まいや商業活動、工業活動のために利用されている建造物の敷地となっている土地のことです。

宅地は、利用している一つのまとまり(1画地)ごとに評価します。例えば、土地の一部を自分で私用し、残りを人に貸している場合、それぞれが1画地となり、別個に評価します。

宅地の評価は、路線価方式と倍率方式があり、前者は土地の面する路線(道路)を区切りとして、国税庁の定めた土地の路線価をもとに評価する方法で、通常、市街地にある宅地はほとんど路線価方式で評価します(参考:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」)。後者は宅地の固定資産税評価額に、国税庁の定める一定の倍率をかけて算出する方法で、路線価が定められていない地域については倍率方式で評価することになります。

 

■②家屋
家屋は原則として、固定資産税評価額をもとに1棟ごとに価額を評価します。

家屋に付属する設備などについては、次の3つに分類して評価します。
・家屋と構造上一体となっている設備(電気設備、ガス設備、衛生設備、給排水設備など)・・・その家屋の価額に含めて評価
・門・塀・外井戸・屋外じんかい処理設備などの附属設備・・・その附属設備の再建築価額から、建築時から課税時期までの期間に減少した財産価値相当額(所定の計算により導かれる)を控除した金額に、70%をかけて評価
・庭園設備(庭木、庭石、あずまや、庭池など)・・・調達価額(課税時期に現況で取得すると考えた場合の、その財産の価額)に70%をかけて評価

 

■③農地・山林
農地は、(あ)純農地、(い)中間農地、(う)市街地周辺農地、(え)市街地農地の4種類に分けて、その区分ごとに評価します。
(あ)(い)は、倍率方式によって評価します。その農地の固定資産税評価額に、評価倍率表に示されている一定の倍率をかけて計算した金額で評価します。
(え)は、宅地比準方式又は倍率方式によって評価します。宅地比準方式は、「(〈宅地とした場合の1㎡あたりの価額〉-〈1㎡あたりの造成費〉)✕〈地積(㎡)〉」という計算式で評価します。
(う)は、その農地が市街地農地樽とした場合の価額の80%に相当する金額で計算します。

 

山林は、(ア)純山林、(イ)中間山林、(ウ)市街地山林の3種類に分けて評価します。
(ア)(イ)は倍率方式、(ウ)は宅地比準方式又は倍率方式によって評価します。

 

■④借地権
建物の所有を目的として土地を借りる権利を借地権といいます。借地権には、(1)借地権、(2)一般的借地権、(3)事業用定期借地権等、(4)建物譲渡特約付借地権、(5)一時使用目的の借地権の5種類があり、(1)が原則形です。

借地権は、種類に応じてそれぞれ異なった評価をします。ここでは、(1)借地権と、(2)~(4)を総称した定期借地権等の評価方法を見ていきましょう。

 

(1)借地権の評価方法は、「〈更地とした場合の評価額〉✕〈借地権割合〉」という計算式で求めます。
(2)~(4)の定期借地権等は、原則としては相続時に借地人に帰属する経済的利益と、その利益の存続期間を基準に算定した価額で評価します。

しかし、定期借地権の設定時と相続時とで借地人に帰属する経済的利益に変化がない場合など、課税上の弊害がなければ、次のように評価します。
「〈更地とした場合の評価額〉✕(〈設定時に借地権者に帰属する経済的利益の総額〉÷〈設定時のその宅地の通常の取引価額〉)✕(〈相続時の残存期間年数に応じた基準年利率による複利年金現価率〉÷〈設定期間年数に応じた基準年利率による複利年金現価率〉)」

 


■⑤貸宅地・貸家建付地
相続した宅地について、例えば借地権が設定されているなど、他人がそこを利用できる権利を持っていることがあり、このような宅地を、貸宅地といいます。また自分の所有する土地にアパートや一軒家などを建て、他人に貸している場合は、その土地のことを貸家建付地(かしやたてつけち)といいます。

相続税法が想定している宅地上に存在する権利には、(A)借地権、(B)定期借地権等、(C)地上権、(D)区分地上権、(E)区分地上権に準ずる地役権がありますが、実際によく設定されているのは、(A)借地権と(B)定期借地権等です。

借地権のある貸宅地の価額は、「〈自用地としての価額〉-〈自用地としての価額〉✕〈借地権割合〉」という計算式で求めます。

貸家建付地の評価額の計算は、次のようになります。
「〈自用地としての価額〉-〈自用地としての価額〉✕〈借地権割合〉✕〈借家権割合〉✕〈賃貸割合〉」

 


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