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相続税の計算方法と税額控除

相続税の計算は少々複雑なので、一つ一つ丁寧に計算していきましょう。大まかな流れは次のようになります。


①各相続人が相続した遺産のうち、課税される額を計算する
②課税される遺産の総額を計算する
③相続税の総額を求める
④各相続人が実際に納付すべき相続税額を計算する

 

なお、税金関係の法令はよく改正され、2015年(平成27年)1月1日以後に発生した相続から、相続税の税率や基礎控除額が変わりましたので、注意しましょう。

以下では、上記①~④の段階について、相続人が配偶者A、子B・Cであるケースを例に、簡単に解説していきます。

 

■①各相続人が相続した遺産のうち、課税される額を計算する
まず、①の段階では、A・B・Cのそれぞれの課税価格を計算します。計算方法としては次の通りです。


〈各人の課税価格〉
=〈相続・遺贈によって取得した財産の価額〉+〈みなし相続財産の価額〉-〈非課税財産の価額〉-〈債務・葬式費用の金額〉+〈被相続人からの3年以内の贈与財産の価額〉
※「非課税財産」と「債務・葬式費用の金額」を引いた結果、マイナスの場合、「ゼロ」とみなして上記の額を加える

 

「みなし相続財産」とは、厳密に言えば相続や遺贈によって取得した財産ではないが、相続税法上、相続税の課税対象とされている財産のことをいいます。生命保険金(一定額は非課税)や死亡退職金(死亡後3年以内に権利が確定したもの)、定期金に関する権利などがこれに含まれます。

「非課税財産」とは、金銭的価値があり、財産と評価できるものでも相続税の課税対象外とされている財産をいいます。

具体的には、墓地や仏壇など日常的に礼拝しているものや、国や地方公共団体などに寄付した財産などがこれに含まれます。

 

■②課税される遺産の総額を計算する
次に、A・B・Cそれぞれの課税価格の合計額を求めます。そこから基礎控除額を引くと、課税遺産総額が分かります。
基礎控除額の計算式は、「3,000万円+(600万円✕法定相続人)」です。今回のケースでは、3,000万円+600万円✕3=4,800万円となり、遺産総額が4,800万円以下であれば相続税は支払わなくて済みます。

例えば、Aの課税価格が7,000万円、Bの課税価格が3,800万円、Cの課税価格が3,000万円とすると、課税価格の合計額は1億3,800万円(=7,000万円+3,800万円+3,000万円)となります。これに基礎控除額を引くと、課税遺産総額は9,000万円(=1億3,800万円-4,800万円)となります。

 

■③相続税の総額を求める
課税遺産総額から、A・B・Cの法定相続分に応じた取得金額を求め、そこに相続税の税率をかけて、各法定相続人の税額を出します。

さらに、この各法定相続人の税額を合計し、相続税総額を計算します。

相続人が配偶者と子2人のケースでは、配偶者の法定相続分は2分の1、子は4分の1ずつです(民法900条1号・4号)。

 

課税遺産総額が9,000万円とすると、法定相続分に応じた取得金額は、
A・・・9,000万円✕1/2=4,500万円
B・・・9,000万円✕1/4=2,250万円
C・・・9,000万円✕1/4=2,250万円

 

となります。これに、相続税の税率をかけ、控除額を引いて各法定相続人の税額を出します。

相続税の税率は実務上「相続税の速算表」が用いられます。
A・・・4,500万円✕20%ー200万円=700万円
B・・・2,250万円✕15%ー50万円=287万5,000円
C・・・2,250万円✕15%ー50万円=287万5,000円

 

相続税の速算表   ※別途Excel等で作り直してください
法定相続分に応じた取得金額      税率(%)      控除額(万円)
1,000万円以下             10%          0
1,000万円超3,000万円以下        15%          50
3,000万円超5,000万円以下        20%          200
5,000万円超1億円以下          30%          700
1億円超2億円以下            40%          1,700
2億円超3億円以下            45%          2,700
3億円超6億円以下            50%          4,200
6億円超                55%          7,200

相続税の総額は1,275万円(=700万円+287万5,000円+287万5,000円)となります(100円未満切り捨て)。

 

■④各相続人が実際に納付すべき相続税額を計算する
最終段階では、まず③の段階で求めた「相続税の総額」を、「課税価格の合計額」に占める「各人の課税価格」の割合(②参照)で配分して、各人の相続税額を求めます。


具体的な計算式は、「各人の相続税額=相続税総額✕(各人の課税価格÷課税価格の合計額)」となります。
A・・・1,275万円✕(7,000万円÷1億3,800万円)=648万7,391円
B・・・1,275万円✕(3,800万円÷1億3,800万円)=351万869円
C・・・1,275万円✕(3,000万円÷1億3,800万円)=277万1,739円

必要に応じて税額控除を行いましょう。税額控除には、暦年課税分の贈与税額控除や、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除などがあります。複数の控除が当てはまる場合は、控除する順番が決められています。

これらの控除を行った結果、最終的に導きされた額が、各人が実際に納める相続税(=各人の納付すべき相続税額)となります。

 

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